- 主人公は少女分身体レプリカ
- ニセモノだった少女のホンモノの初恋
- 守れるかわからない約束
- 健気な少女と不器用な少年の恋物語
感想
愛川素直という少女の分身体(レプリカ)、彼女が学校に行きたくない時だけ代わりになる少女ナオ。勉強も運動も全部、素直のために頑張ってきた彼女が、初めて見つけた自分だけのものは恋心だった。ニセモノが見つけたホンモノの恋のお話。
よかった……。
主人公ナオというレプリカは素直に望まれた時にしか姿を現せない、学校に行くのも代役として。そんな彼女が初恋によって初めて望んだもの、それは明日も明後日も彼と会う約束。守れるかどうかわからなくても、ナオがナオとして存在するため約束せずにはいられなかったとか、そんなの好きにきまってるじゃないですか!!切なさで胸が張り裂けそうとは、このことかと読んでいて思いました。ナオに感情移入しすぎて、何気ない彼女の心の独白が胸に突き刺さってくるんですよ。
本物がいないと存在できないレプリカである自分は何者なのかという葛藤も同時に描かれ、ショッキングな出来事もありますが、そこからの立ち直りはやはり恋なので、主題はあくまで初恋のお話なんだと感じました。
ナオは本物である素直に喜んでほしいから、彼女の苦手な勉強や運動を頑張ってきた健気な女の子。お相手、真田秋也は真っすぐで不器用な男の子。この2人の初々しいやり取りが、恋に落ちていく様子が素晴らしかったです。動物園デート可愛かった。想いが通じ合ってからは、お互いに相手のために一生懸命になっているところが最高に青春しててよかったです。後輩で幼なじみのりっちゃんもよくて、特に終盤の長い期間友人だったからこそできる声掛けで、ナオを支えて励ましてくれる感じが素敵でした。
温かく優しい、そして少し未来を示唆する終わり方もよかったです。
イラストも透き通るような綺麗さと可愛さがあって好き。
綺麗な締め方だったのでこのお話の続きなのか、別の新作なのかはわかりませんが、作者さんの次作も読みたいです!