- 後悔と恋愛と青春と
- 大好きなまま別れた相手が目の前に現れたら?
- 読書家主人公
- 天真爛漫ヒロイン
- 情緒がぐちゃぐちゃに
現在3巻まで刊行
1巻感想
惹かれ合うべくして惹かれ合った二人だなぁ。
中学生の時の恋人との別れを引きずっている男子高生結弦と、彼の後悔である元カノ藍衣が再び目の前に現れ始まるお話。
思春期のままならなさに本人は苦しそうで、でもそれは学生という刹那な時期だからこそ読んでいてキラキラと輝いてみえました。
主人公結弦は、自己肯定感の低めな優しい男の子。人にただ流されるのではなく自分の意見をはっきり言うので、暗い人ではなく落ち着いた人という印象になっているのかなと。
藍衣に対しては大切すぎて尊重したいという気持ちが強すぎ、後ろ向きな方向に自己完結しちゃったりでしたが。そのお尻を叩いてくれる存在な小田島ちゃんも存在感がありました。結弦の語りがほぼ藍衣のことで、どれだけ特別な存在なのか伝わってきました。
戻ってきたヒロイン藍衣は、とにかく主人公結弦が大好きな女の子。今度こそはと頑張る彼女を応援したくなりました。
2巻感想
前回、藍衣への「後悔」を乗り越えた結弦。平穏な日常が戻ってきて一安心、と思ったら今度は同じ部活の大切な友人小田島薫の様子がおかしくて……?後悔と向き合う青春シリーズ2巻。
もう表紙から伝わってくる薫の激情がね……。恋愛的な後悔がメインだった前回とは少し違うのかなと。結弦がとても大事な友人として薫を心配して行動するんですが、薫の気持ちを知っている側としては切ないんだよなぁ。
あの時背中を押してくれた薫は、自分自身が辛い状況に陥った時は一人で苦しんじゃうタイプの女の子。そんな彼女を助けたいんだという結弦の優しさが彼女を更に苦しめて、でもそれこそが救いでもある…と。読んでて一緒に感情グチャグチャになる感じが素晴らしかったです。
薫のために結弦の背中を押す藍衣も、前回とは逆の構図でよかったですね。最後には彼女自身の覚悟も見せながら、しっかりと結弦の気持ちを引き寄せちゃうのがさすがでした。かわいい、好き。
3巻感想
文化祭でバンドをやることになった結弦たち。そして、ベースに名越李咲先輩を誘う壮亮と断り続ける先輩。彼女の過去には何があったのか。後悔と向き合う青春シリーズ3巻。
すごくすごくいい……!!
最初の楽しそうでありながら切ない海水浴や間に挟まる藍衣と薫との三角関係もいいんですが、今回はやはり李咲先輩ですね!カッターを持ち歩きリストカット常習という謎に包まれた彼女、その理由と生い立ちが語られました。それはあまりにも辛い結末を迎えてしまった過去で、これは音楽を拒否するのも仕方がないな、むしろ先輩がここまで生きてることが奇跡かもしれないなと。
ただ、先輩に手を差し伸べ続ける結弦と壮亮の存在によって、辛いだけではなく希望を感じられたのがよかったです。結弦は彼らしく先輩との対話で理解しようとしていたし、なにより真っすぐにぶつかっては断られ、それでも諦めず必死に努力をした壮亮がね、カッコよかった!最後の演奏シーンでは、じんわりと涙が溢れてきました。
最高に面白くて心揺さぶられる3巻でした。続きも楽しみ。