感想
希代の聖女として活躍した後、聖女の力をほぼ失ってしまったローズは妹と教会に冤罪をかけられ死んでしまった。目覚めたら二年前の秋に戻っていた彼女が、推しの死を回避するために全力で奮闘するファンタジー。
聖女追放ものの皮をかぶった色々激重バトルファンタジー!!感情がぐっちゃぐちゃになったよ!
物語の入りは追放ものなんだけど、途中であれ?戦いめちゃくちゃ過酷だし、追放とかそういう問題じゃないのでは?となり、後半で見事にそれまでの伏線回収、そしてメインで語る人物が交代し主人公ローズという存在についての話になっていったのが凄かった。読んでいて疑問やモヤモヤに感じたことへ補足や他の登場人物からのフォローがすぐに入って読みやすかったです。これは私だけかもしれないけれども……。
推しのためなら倫理観をぶっ飛ばすヒロインと、彼女の推しであり戦いにめっぽう強い以外は割と常識人な死神公爵、金髪ロールお嬢様にやたら好戦的な青年、ローズに推しという概念を教えた気弱少女の残念で愉快な仲間たちが賑やかに仲良くなっていくのがよかったです。終盤はローズとその周りの人たちが抱えたあまりに重すぎる宿命に、ずっと涙しながら読んでいました。
1冊完結ですっきり終わっていたのもよかった。ただ、これは個人的な望みとして、ローズの部隊みんなを大好きになったから、本当は全員が幸せに笑い合えるそんなエンディングがみたかったなぁ、なんて……。