1巻まで刊行
1巻感想
婚約破棄して以来、仕事に生きてきた宰相様直轄事務官の子爵令嬢アレリラ。上司である宰相閣下、イースティリア侯爵を尊敬していたが、ある日残業中に淡々と求婚される。形だけの契約結婚だろうと同じく淡々と了承したアレリアだったが、どうやらイースティリア様は愛している相手がいるようで……?愛と職務に邁進する堅物夫婦の新婚生活!
良い!!やっぱり登場人物一人ひとりに想いがあって生きているお話は好きだなぁ。
最初にアレリラとイースティリアの結婚から始まり、少しの勘違いで本当の相思相愛になるまでのお話。お堅いと評判だけれど、そんな自分も自覚しながら、少しずつ最適解を探して生きてきた強く優しい女性アレリア。彼女が運命の相手と結ばれる展開は、優しく報われて良かったなと思えるものでした。イースティリア様も包容力抜群でカッコよかったし。
ただ、私はこのお話はその後の周りの人たちとの関わり方の描き方が真骨頂なんじゃないかなと。最初はひどい人かなと思った人が、見方を変えたり、環境を変えることでこちらの受け取り方が変わるんです。その人なりに考え頑張って生きてるんだっていうのが伝わってきて、物語の中に人の人生が垣間見えるの大好物で、ええ、本当に良かった。婚約破棄した相手ボンボリーノのお話がめちゃくちゃ良かったんですよ!!!彼は彼なりにアレリアへ歩み寄ろうとして、でもこれは2人とも不幸になるからと行動する。やり方自体はアレリラに迷惑をかけてしまったけれど、なんか上手くいっちゃうのが彼なんですよね。所々でしっかりアレリアのためになる行動を、本人は意識せずにできちゃってるのがすごい。イースティリアからの「愚かな賢者」もしくは「賢い愚者」っていう評が好きすぎた。フォッシモの話は不器用ツンデレすぎてニヤニヤしましたし。
真面目で実直、イースティリアの影響で柔軟さも手に入れ心から優しいアレリアが、今後どんな人に出会って、その世界が変化していくのか。
続きも楽しみです。