感想
田舎町、阿加田町で暮らす中川栞。父と2人暮らしの彼の家へ、父の友人の子ども佐藤冥がやってくる。彼女は姉を死に追いやった7人を皆殺しにする計画を立てていた。そのことを知った栞が彼女に協力し、血塗られた祭儀『オカカシツツミ』によって巨大な蛇の神『オカカシサマ』の力を手に入れ復讐をしていく。その先に救いはあるのか、残酷青春ラブロマンス。
共依存が!共依存カップルの話じゃないですか!ちょっと先に言ってもらわないと心の準備が(え)
面白いと真っすぐに言うのは難しい、複雑でしんどくて辛くてでも先が気になって手が止まらない。全体的に淡々と語られる(特に人の死)ので、読みやすかったです。すいすい読めるけれど、お姉ちゃんのいじめ、それによって心を壊していく描写は本当に辛かった……。結果がわかっていて読む本人視点はしんどい!
これは私の個人的な考えですが、物語としての復讐はいなくなった人のためではなく、残された人が自分のためにやるならありだと思っていて、このお話の冥はまさにそれだと感じました。
主人公栞と冥が出会って恋に落ちて、協力関係で堕ちていくお話でもあり、ここに共依存が詰まりまくっていてよかったです。共依存にとっての最悪バッドエンドは2人が離れ離れになることだと思っていて、この2人をそれを乗り越えてハッピーエンドを掴んだんですよね。
人に無邪気におすすめするには、色々としんどさも強く好みも出そうですが、私は読めてよかったです。真っ暗闇の中だからこそ、光り輝くものがとても綺麗で美しい、それを感じられるお話でした。